記紀神話

【ざっくり記紀神話】22.日向三代 -火遠理命(山幸彦)の海神宮訪問

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※あらすじは、『古事記』版を元としています。

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【あらすじ/要約】

海幸彦(火照命)と山幸彦(火遠理命)

火照命海幸彦とも呼ばれ、海で魚を捕って暮らし、火遠理命山幸彦とも呼ばれ、山で獣を獲って暮らしていた。

●弟の火遠理命は兄の火照命にお互いのサチ(獲物を獲る道具)を交換しようと三度持ちかけたが、兄は承諾しなかった。
●ようやくことで交換が成立し、さっそく火遠理命は釣針で魚を釣ろうとするが、全く釣ることが出来ない。そればかりか、釣針を海に落としてしまった。

●火照命が「弓矢も釣針もそれぞれ大切な道具だから、そろそろ返そう」というと火遠理命は「あなたの釣り針で魚を釣ろうとたのですが一匹も釣れず、そればかりか海中に落とし失くしてしまいました」と答えた。
●火照命は許さず、返せと激しく責め立てた。火遠理命が十拳剣を壊して五百もの針を作り償っても受け取らなかった。
 更に千個の針を作って償って許しを請いても、それも受け取らず「元の釣針を返せ」と言って譲らなかった。

海神の宮訪問

塩椎神

●火遠理命が浜辺で悩み泣いていると、塩椎神(しおつちのかみ)がやってきて 「天の御子たる空津日高様が、どうして泣いているのですか?」とたずねて来た。これに、火遠理命はこう答えた。
●「兄のサチ(釣針)を失くしてしまいました。多くの釣針を作って償っおうとしましたが、受け取ってもらえず元の釣針を返すように言うので、困って泣いているのだ」

●それを聞いた塩椎神は「ではあなたのために、良い工夫をいたしましょう」と、目が詰まって隙間の無い竹籠の小船を造った。
●それに火遠理命を乗せると「私がこの船を押しましたら、そのままでいて下さい。良い潮路に乗りそのまま行くと、魚の麟のような美しい宮殿が見えてきます、綿津見神(わたつみのかみ=海神)の宮殿です。御門に着きましたら、傍の井戸のほとりに楓の木があるので、そこに登ってお待ちください。海神の娘があなたを見つけて良いように取り計らってくれるでしょう」と言った。

海神の宮殿

●火遠理命が塩椎神に教えられた通りに進むと、言われた通りのものが見えてきた。木に登って待っていると海神の娘の豊玉毘売命(とよたまびめのみこと)の侍女が、器を持って井戸水を汲みにやってきた。
●侍女が火遠理命を見つけて不思議そうにしているので、火遠理命は水を要求した。
●侍女が器に水を汲んで差し出しすと火遠理命は飲まずに自らの首にかけていた玉を解いて口に含み、器に吐き入れた。すると、玉が器にくっ付いてしまい、侍女が取り離そうとしても離れなくなったため、豊玉毘売に進上し事情を話した。

●豊玉毘売は怪しんで外を見ると火遠理命を見かけるや一目惚れしてしまった。
●父である海神の元へ行き「我が家の門に、美しい男性がいます」と報告すると海神は自ら外に出て確認すると、「あの方は天津神の御子の虚空津日高であられる」と言って、家の中に招き入れた。
●アシカの皮を何重にも敷き詰め、その上に絹の織物の敷物を敷き、火遠理命を座らせ、沢山の宝物を差し出して酒宴を開きを開き、すぐに娘の豊玉毘売と婚姻を結ばせた。

●火遠理命はそのまま海神の国で暮らし、あっという間に三年が過ぎてしまった。

●楽しく過ごしているうちに、火遠理命は最初の目的を思い出して大きな溜息をついた。
●それを見ていた妻の豊玉毘売は父に相談し、海神は婿に溜息の訳をたずねた。
●火遠理命が兄の釣針を探しにこの国に来た事話すと、海神は海に住む全てのの魚達を集め、釣針の在処について問うた。
●すると魚達は「近頃、赤鯛が『喉に骨が刺さって物が食べられない』と言って悩んでいます」と答えた。

●そこで、赤鯛を呼び喉を探ってみると、探していた釣針がひっかかっていたので、すぐに取り出し洗い清めて火遠理命お返しした。

潮盈珠と潮乾珠

●釣針を返すとき、海神は火遠理命にこう伝えた。
●「この釣針を兄上に返す時に『この釣針は、オボチ・ススヂ・マヂチ・ウルヂ』と呪いをかけておやりなさい。そして兄上が高い所に乾いた田を作れば、あなたは低い所に湿った田を作りなさい。また兄上が低い所に田を作れば、あなたは高い所に田を作りなさい。私は水を自在に支配していますので、三年の間に必ず兄上は貧窮を味わうことになります。もし、貧窮を恨んで、戦い攻めて来たら、この潮盈珠(しおみつたま)を出して溺れさせ、助けを望んだら、この潮乾珠(しおふるたま)を使って助けて、苦しめ悩ましてやりなさい」と潮盈珠潮乾珠という、海水の干満を自由に操ることの出来る二つの玉をを火遠理命に授けた。

●そして海神は鮫(=わに)を集め、たずねた。「今、天津神の御子の虚空津日高が葦原中国にお帰りになろうとしている、御子を何日でお送り出来るか答えよ」
●一日で送り届けられると申し出た鮫があったので、その鮫に丁重にと釘をさしつつ火遠理命を送り届けさせた。

●なお、火遠理命は その鮫を帰らせる時に、鮫の首に自身の腰に帯びていた紐小刀をかけた。そのためその鮫は今、佐比持神(さひもちのかみ)と呼ばれている。

火照命=隼人の服従

●地上(葦原中国)に帰った火遠理命は、海神に教わった通りにして火照命に釣針を返したところ、次第に兄は貧しくなっていき、更に荒々しい態度で火遠理命に攻め入って来た。

●攻めようとしてくる際には潮盈珠を使い溺れさせ、助けを求めて許しを請う際には潮乾珠を使い救って悩み苦しませた。
●火照命はついに、「私はこれより以後、火遠理命を昼夜やを問わずに守る者となって仕えしましょう」と服従を誓った。

●その様な理由から、火照命の子孫である隼人(南九州の人々)は、今も宮廷の護衛にあたっている。

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